各章の扉の舞台裏



本書は、全13章にもなる大部の書籍のため、全体を三部構成にすることに加えて、読み始めるきっかけが得られやすくするために、各章の最初に導入のためのコンテンツが入れられている。
これは、架空の学生を想定した会話と、小さなイラストで構成されている。

会話に登場する人物は、仲の良い学生4名で、その章の内容に関するさりげない日常会話を創作した。
実在の人物でもなければ、実際の会話に直接的なヒントを得たわけでもない。しかし、それぞれに章の内容に関連した話題を取り上げているので、気楽に読んでみて欲しい。また、ここでの会話に自分が参加するとしたら、どういう展開ができるか、それを考えてみるのもおもしろい。

章の扉用のイラストは、読者にとって異なる二通りの見方ができるようにしている。
まず種を明かすと、このイラストは、航空宇宙学科の長い歴史を刻んだ実験棟の中にある設備や装置の一部や、そこで使われている部品をかたどったものである。それぞれの章との関連性には一応の配慮はしているが、ややこじ付けたものもある。
したがって、学外の方には、これが何であるかわからないだろうし、それで差し支えない。だから、これらのイラストにはキャプションを付けなかった。余白に入れたちょっと変わった挿絵として見ていただきたい。

一方、これらのイラストには、本学の学生が授業やゼミで実験棟に出入りしたり、あるいは実験で操作をすると、目にしたり手を触れたりするものが含まれている。つまり、本学の新入生は「ネタ元探し」のようなゲームをすることができるし、卒業生は「記憶との照合」で思い出に浸ることもできる。

ただし、その答えは教員に求めないでいただきたい。知ることよりも、知るまでのプロセスにこそ価値がある、ということも本書が若い人たちに伝えたいメッセージの一つである。






「航空宇宙学への招待」について

主な目次

「航空宇宙学への招待」ができるまで

表紙について−なぜ、メビウスの輪か

付録:全目次