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トビウオの飛行性能の解析


     

 トビウオは飛行機とそっくりな形をした魚で、立派な胸鰭を主翼に、腹鰭を水平尾翼に、尾鰭を垂直尾翼に用いて空を飛ぶことができます。その飛行性能の分析は、主に船から撮影された写真やビデオをもとに行われていました。ところが、トビウオは基本的に船から逃げるように遠ざかっていくため、船の上からの撮影では後方や側面から見た姿しか撮影することができず、飛行中の翼の形などの詳細は不明なままでした。そこで研究室では、マルチコプタにカメラを取り付け、海上を飛行させることによって、トビウオの飛行を真上から撮影することを試みています。

   
 マルチコプタ(DJI Phantom2)      海上での撮影の様子

 撮影には上のようなマルチコプタを使います。これに小型ビデオカメラ(GoPro Hero3)を搭載し、船の上から操縦して海の上を飛ばしながら水面を撮影します。撮影には東京都島しょ農林水産総合センターのご協力を得て、センターの調査船を使わせていただいています。うまくタイミングが合うと下のような写真を撮影することができます。

    
          海面上を滑走するトビウオ

      
      飛行中のトビウオ(ハマトビウオ)の連続写真

これらの写真から、飛行中のトビウオは翼をやや後ろに後退させながら飛行していることがわかりました。また、マルチコプタに搭載されたモーションセンサの情報を用いて、トビウオの飛行速度などを分析することができました。
 トビウオは高速で飛行するため、その姿を鮮明に撮影することは難しいのですが、撮影機材の進歩などでそれが可能になれば、飛んでいるトビウオの種類を判別したり、体長を測ったりすることが可能になり、水産学的にも貴重なデータを取ることができると考えています。研究室ではトビウオ以外にもイルカなどの海洋生物の撮影も試みています。